Still Life

残念IT系母ちゃん。旦那さん、娘1歳、猫の4人暮らし。

まぶしくてあたたかくてちょっぴり切ない、王道の青春漫画「ふたつのスピカ」

ふたつのスピカ 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

ふたつのスピカ 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)



小説以上に漫画を読まないわたしが今回勧められて借りてきたのがこの漫画。
たしか、まだアニメ化する前の「宇宙兄弟」が面白いって話題が社内で出たときのこと。興味を持ったわたしに、社長が、「女の子向きならこれ」ってかんじで貸してくれたのを、今月に入ってやっと読み終わりました。


舞台は近未来の日本。国内初の有人ロケット発射失敗から6年後、ようやく再起して次の有人ロケットの打ち上げが実現しそうという時代。
主人公のアスミは、先のロケット事故で母親を亡くし、職を失った父親と2人で暮らしながら、宇宙に強い憧れを持った頑張り屋の女の子です。
彼女は国立の「東京宇宙学校」に進学し、そこでかけがえのない友人たちに出会います。
彼らとの学校生活がキラキラしてて、雰囲気が素晴らしいのです。


絵が素朴で、漫画というよりはイラスト集と言っていいくらい丁寧です。とはいっても、「草子ブックガイド」を読んだときに感じたような「全方向に頑張りすぎて漫画らしくない」というわけでもなく、雰囲気がしっかり描かれています。シュウのひょうひょうとした、でもなんとなくはかなげな感じとか、「空間」も描くことができないと、なかなか出せないんじゃないかなと思います。きっと空や宇宙を描けている漫画なんだなと思います。


青春を描くのに、彼らの憧れである宇宙そのものは、それほど重要ではありません。というのは言い過ぎかもだけど、実際に夢を叶えたときの、宇宙飛行そのものは、とてもあっさりとしか描かれていません。高校時代の仲間たちのそれぞれの決意や進路が、宇宙飛行くらい、またはそれ以上に描かれます。
ここぞというシーンは全部良いのですが、わたしが読了後にも時々思い出してしまうくらい心に残っているのは、こんなエピソードです。


新型スペースシャトルの日本人搭乗員の候補試験を受けたシュウ。テレビではシュウの父親が代議士であることが取り上げられたために、親の威光なのだろうなどと噂する生徒が出てきます。これを耳にした圭ちゃん(実はシュウに片思いしている)が激昂してその生徒にけがをさせてしまいますが、担任に問い正されても絶対に謝らないと主張します。
でも、試験から戻ってきたシュウが、圭ちゃんに語るのです。
「圧迫面接って知ってる?相当キツイこと聞かれたけど乗り切ったよ。宇宙に行きたいという夢のためなら僕はなんでも我慢できる。
だから、君も謝ってきたほうがいい」


なんて大人な!大きな夢を持った賢い少年のなんと強いことか!


わたしは圧迫面接も、他社の足元をすくうことしか考えていない仕事のやり方も大嫌いで、そんな仕事は全てこちらから背を向けることしかできません。
(背を向けるだけならまだいいんですけどね。圭ちゃんみたいにいちいち腹を立てていつも更に損します)
でも実際は、そんな悲しい考え方しかできない相手とでも強かにやっていけるようにならないといけないのです。
そのための一つの解決策としてはゆるぎない実力を持つことだと思います。
でもそれだけではきっと足りなくて。シュウのようなしなやかな強さがとてもうらやましいと思いました。


時を経てまた読み返したい漫画です。そのときは、またきっと別のエピソードが心に残るんじゃないかなと思います。