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Still Life

残念IT系母ちゃん。旦那さん、娘1歳、猫の4人暮らし。

人間はだませても、データはだませない。「「学力」の経済学」を読んだ

「学力」の経済学

「学力」の経済学

こちらの本はトピシュさんがブログで何度か言及されていたので、手に取りました。

専門家であっても個人的経験に基づく非科学的な主張が根強い世界があります。子育て、教育の分野です。
著者は、周囲から受ける相談やテレビで見聞きする専門家の見解を引き合いにしながら、多くの人の支持を集めやすい、直感的に正しそうな逸話よりも、調査とデータから引き出される発見のほうが価値があると話を展開します。

表紙に書いてある「ゲームは子どもに悪影響か」「ご褒美で釣ってもいいのか」といった疑問は、この本の半分くらいまでで解決してしまいます。わたしとしては学力に関することはまだ早くて実感が沸かず、

  • テレビやゲームは一日1時間までなら悪影響はない
  • ご褒美は「近い将来に対して」「結果ではなく努力に対して」与えるのが効果的
  • 教育の収益率がもっとも高いのは就学前の幼児(学力ではない非認知能力に効果が上がる)

という話が特に印象に残りました。


あとの半分で著者は、教育の分野での実験の必要性や、データの開示を訴えており、この本を書き上げた意図がわかってきます。
政策ですら科学的な根拠が重要視されない日本の教育。実際、すでに効果が低いことが明らかになっている政策(子ども手当)や、全く効果が検証されていない政策(タブレット端末導入)が、現在進行形で推進している。
教育効果を数値であらわすためには工夫が要りますし、それは不可能ではないかと思う人もいます。
でも予算を充てる以上、そして結果の影響があまりに大きい以上、教育は科学の目に晒されるべきものなのです。
そして著者の「政府は学術研究に用いることのできる統計を取って開示せよ」の主張が、苦労されている研究者の訴えとして印象的です。

この「教育政策に科学的根拠を」という主張は、教員の評価にも及びます。
アメリカでは教員の質を計り、公開しているそうです。
これはさすがに厳しいなあとつい思ってしまいます。でも考えてみれば一般の社会人はは普通に厳しい評価に晒されているわけです。やり方はともかくとしても、もっと教員の技能というものを目に見える形で評価したほうが良いのかもしれません。


個人的に線を引いた箇所が、非認知能力の重要性を書いているところでの

細かく計画を立て、記録し、達成度を自分で管理することが自制心を鍛えるのに有効である

です。
下手をすると子の世話とちょっとした家事だけで毎日が終わってしまうわたしは、もう少し自制心を持って日々有意義に過ごしたいです。



さて私、最近の読書傾向を見るとすっかりトピシュさんファンになってしまっているようです。このあとは下書きに「知的複眼思考法」の読書感想が控えています。
うちの子が大きくなって「つげ義春ごっこをしたい」と言い出した時のために、次はつげ義春の漫画を読むべしと読みたい本リストを充実させています。